「店長」という残業カットの名ばかり管理職

「名ばかり管理職」という言葉を知ったのは私がその会社を辞めた後でした。もし、辞める前にその言葉を知っていたら、きっと今頃は未払いの残業代で数百万円は貯金が増えていたと思います。ブラック企業で働いていると、「これが普通だ」と思ってしまうようになります。しかし、一歩下がってみてみれば異常であることに気づくことでしょう。「俺は何をやっているんだ?」そう思ったら冷静に今後について考えてみるべきです。
 
 

【面接で言われた一言。「役職採用で良いか?」】

私がその会社に入社したのは23歳の頃です。私は小さいころから飲食関係の仕事で働くことを夢見ており、20歳で専門学校を卒業してから飲食関係の仕事で働いてきました。初めに入社した会社は知る人ぞ知る有名企業で、勤務時間こそ長かった(今思えば短かった)が残業代もしっかりついていました。初任給として基本給18万円でしたが手取りは30万円近くありました。

しかし、自分の体調が悪くなってしまった事が原因で泣く泣く退職することになってしまい、その後はリハビリなどをしながらアルバイトなどで生活費を稼ぐ生活をしていました。1年ほどそんな生活が続き、やっと体調も万全となったころに私が面接を受けたのが今回の会社です。本社は距離にして300Kmほど離れたところにありましたが、わざわざ私の面接のために社長や役員が数名出向いてくれるということで多少緊張していました。

面接当日、私が指定場所に行くと誰も居ませんでした。「間違ったか?」と思い電話で連絡をしてみると、「今向かっているから少し待っていてくれ」との返答。仕方なく待っていると10分ほどたったころに電話が鳴り「着いたので来てください」と言われ指定場所に行くことになりました。その場に行ってみるとお偉いさん(?)が5人ほど待っており、さっそく面接が開始されました。

面接で聞かれた内容は普通でしたが、最後に「役職採用でもいいか?」と聞かれました。面接に受かったこともそうですが、役職採用ということで給料にも期待が持てると思い私は二つ返事で了承しました。
 
 

【役職?美味しいの?】

私は「店長代理」としてある店舗に配属されることになりました。といっても地元だったので必然的にそこになったのでしょうが、面接の翌日には勤務することになっていました。「明日から来れる?」と聞かれ、準備があるのでそれは難しいと答えると、「今からすれば間に合うし足りなければ順次揃えればいいから」といわれて渋々了承しました。初めて勤務した感想は、「普通の飲食店」という感じでした。しかし、少し違っていたのは「毎日、社長を含めた役員数名+常駐マネージャーと電話およびミーティングがある」という点です。

私が配属された店舗には店長をはじめとした数名の社員がいました。しかし、私だけ特別扱いをされていたために私は孤立する形となってしまいました。正直、面倒だなとは思いましたがそれ自体はそれほど困ることでもなかったので放っておいたのですが、入社から2週間ほどたったある日、それまでいた店長を含めた社員が一斉に辞めてしまいました。

とにもかくにも私は引き継ぎもままならないまま店舗責任者となってしまい、一日15時間以上働く状況になっていました。朝8:30には出社し、退社するのは3:00時過ぎ。休憩もあったりなかったりだったので多い時は18時間以上働いていたと思います。それだけ働いたのだからさぞ給料も良いのだろうと期待していると、初めてまともな給料が入る日の朝に残高をみて驚きました。

「18万」その数字を見たときには目を疑いました。「あれ?確か面接のときに給料は23万って言ってたような?それに残業代もあるし・・・」そう思いながらも一応はまだ試用期間ということもあり、変動があるのかもしれないと思い納得することにしました。しかし、その後も待てど暮らせど給料は上がることはありませんでした。2か月ほどたったころに上司に確認してみると、「満額23万なら引かれてそのくらいだろう。それに店長は残業代つかないから。」と一蹴されてしまいました。以前、私が【見習い】として勤めていた会社での手取りが約30万円。役職がついた今が手取り18万円。時間と労力が増えただけで稼ぎは半分になってしまったことに私は軽い絶望を覚えました。「役職?なにそれ美味しいの?」
 
 

【早く帰れば怒られ、遅く帰っても怒られる】

それからしばらくして、私は店舗の半期利益獲得額で全社トップの成績をとることが出来ました。表彰もされ給料アップにも期待したのですが全くありませんでした。そこで、社長に直々に給料を上げる方法を聞いてみると、「来年の予算に給料を自己申告して計算し、見事に予算達成したら翌年からその給料で」と言われました。私は正直何を言っているのかわかりませんでしたが、とにかく早くとも2年は給料が変わらないということだけは理解しました。

それから私はやる気がなくなり、余計なことはせずに退社するようにしました。すると、上司から「お前、帰るの早くないか?ほかの店長は3時、4時まで仕事してるぞ。」と言われ、残業を強制されるようになりました。といっても、私としてはやる気もなくなりつつあったので、必要な事だけをやったらあとは寝てたり暇つぶしをして時間だけ過ごすようにしていました。どのみち残業代もつかないので会社に迷惑は掛からないので問題なしです。しかし、それからしばらくしてその上司から「もっと早く帰らないと会社に迷惑がかかる」と言われました。正直、納得したわけではありませんでしたが早く帰っていいなら文句はないと当日からすぐに帰宅するようにしました。それから数日後、再び「お前、帰るの・・・」。正直、この人は鶏なのかもしれないと思いました。
 
 

【辞めてびっくり!何もしてくれない】

そんな生活が2年ほど続き、私はとうとう我慢できなくなり退職することにしました。規定で2か月前までに申告となっていたので、私は3か月前に退職願を提出しました。すると、会社の対応は一遍。何か要求をすれば後回しにされるのに、月々の予算に関しては厳しく追及されるようになりました。とはいえ、結果だけは出していたので私も適当にあしらっていたのですが、いざ退職となった段階で驚きました。

待てど暮らせど離職票が来ない。最後の給料も入らない。もちろん残業代なんて存在すらしない。

何度か請求しましたが、会社からの返答は「あなたは退職によって会社に損害を与えたため、その賠償をしない限りはすべて支払いません。」というもの。この時は本気で訴えようかと思いましたが、これ以上関わりたくないという思いの方が強く、私はそっと記憶から消し去る決意をしました。

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