仕事中カップが空を飛んでいた

結婚し引越しをしたので今までやっていた仕事を辞め、家から近いところで何か出来る仕事はないか、と探していました。
すると近所で事務の仕事を募集していたのです。
お給料も事務にしてはまぁまぁ良いですし、何より「家から近い」という点に惹かれました。
まさかこのときは「家から近い」という理由だけで選んだ仕事が失敗だとは思いもしなかったのです。
面接のとき、事務所には所長以外誰もおらずシーンとした空間でした。
何というか仕事をしている雰囲気のない空間で、今まで働いていたところは少なくとも最低もう一人くらいは事務所にいたりしていたので「おかしいな?」と思いました。
しかし所長はニコニコし人当たりが良さそうですし、仕事内容も聞いてみると私でもできそうだと思いました。
そして面接に受かり勤務することになったのです。
 
 

ニコニコ所長の裏と表

仕事は土日休みの午前九時から午後五時まで、という話でした。
しかし最初の勤務日は土曜日でした。
「ん?」と思いながらも「引継ぎの人が土曜日しか空いてないから」といわれ出社しました。
引継ぎの事務の人以外おらず所長は休みでした。「えー!?」と思いつつも引継ぎをし、最後に事務の人から「所長は裏と表があるから気をつけてね」と言われました。
最初は何のことだろ、と思ったのですがまさかあそこまで酷いとは思いもしませんでした。
しかもその出勤日の土曜日に私は帰宅中車に轢かれたのです。相手はカゼを引いており薬を服用し朦朧としながら運転をしていて、青信号で渡っている私に気づかず私を轢いてしまったのです。
どうしたらよいか分からず月曜から仕事にいけるかわからなかったので一応会社に電話をしたらなぜか営業の人がおり「それは僕に言われても困る。所長に言って」と言われました。所長の電話番号なんか知らないよ!と思いつつ、伝言だけし病院へ運ばれました。
大きなケガもなく通院で処理できるケガだったのでよかったです。
月曜日出社するとニコニコとした所長が「土曜日轢かれたんだって?大丈夫?」と声をかけてきました。
本当に裏と表があるのかなぁと思うくらいニコニコしています。
「大丈夫です、よろしくおねがいします」というと「そういうときは私に電話してくださいね」と。だから電話番号知らないっつーの、と思いつつ「はい」と返事をし仕事を始めました。
営業が五人いるのですが、皆覇気のない顔をしているのが特徴的でした。
今まで団体職員系の会社で働いていたので「普通の会社の営業って皆こんな顔なのかも」と思うことにしておきました。
営業が各々準備をしていると、所長が「おい!A!」と営業の一人を大声で呼んだのです。
今までのニコニコはどこに行ったの!?と思うくらい般若のような顔をしています。
Aさんは頭になぜか絆創膏をしておりオドオドしながら所長の下へいきました。
「これは何でこんなんなってんだよ!説明しろ」と所長は持っていた書類をAさんに投げつけます。
Aさんは書類を拾いながら「これはこうで…」と説明していたのですが、途中で所長が「言い訳すんな!」と言い出し「そんなこという人本当にいるんだ」と私は驚いてしまいました。
その後も五人いる営業を一人一人呼び同じようなことをいい無理難題を吹っかけていました。
 

営業の頭のケガ

もう一人事務の人がいたのですが、所長がいないときに話を聞いていると「Aさん頭ケガしてるでしょ?あれね所長がマグカップ投げつけたの」と言い出しました。
え!?それって傷害じゃん!と思ったのですが口には出しません。
「でね、投げつけたカップが割れちゃってAさんケガしちゃったの」と。
それってそんな簡単に私に話していいことなの?と思いました。
所長は事務の私たちには優しいのですが営業にやたらと厳しいのです。
「もし私が何か失敗したらカップを投げつけられるんじゃないか」と不安に思うようになりました。

「退職しても同じ業界に就き、また所長に会う可能性がある」という恐怖

Aさんと話す機会があったので「なんでそんなことまでされて会社辞めないんですか?」と聞いてみました。
すると「この業界はね、特殊でね、ここを辞めたとしても同じ業界にしか就職できないと思うから、そうしたらまた所長と会うでしょ?そしたら「あいつは俺のところを辞めたヤツだ」て笑われる、それが怖い」といわれました。
病んでんなぁ、と思うと同時に「籠の中の鳥ってこんなんなんだろうな」と感じ「長いことここにいたら私もそうなってしまうかもしれない」と退職を決意しました。
しかし面と向かって退職する、と伝えるのが怖かったので本社に掛け合ってそちらに退職の意向を示しました。
今は全然関係のない業界・業種で仕事をしていますが、今でもAさんや営業の人が無事か気になっています。

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