ブラック企業のパワハラで完全に潰された私

 

私は20代後半のころ、ある営業会社に入社しました。もうそのころは周りが皆、正社員として働いているなか、自分だけが無職状態であり、もうこの会社しかないと心に決め、入社を決意したのです。

 
実際、ハローワークで求人票を出して応募すると、いきなり当日に面接があり、そこで好印象だったようですぐに採用となりました。いま思い返せば「当日面接、即採用」の時点で疑っておくべきだったのです。
 
 

■初出社日で嫌な予感

私は初出社日、先輩の係長から嫌な予感がする言葉を聞いてしまいました。それは営業所の所長の性格についてです。
 
「あの人、持って3日だから」
 
初めはどういうことなのかよくわかりませんでしたが、その言葉の意味は入社後2週間目で発覚することになります。面接していただいたのもその所長だったのですが、おとなしめの方で性格も良さそうに見えました。しかしそれは仮の姿だったのです。
 
 

■二重人格だった所長

入社後2週間目、私は所長同行のもと、得意先へ挨拶回りをしていました。そこで事件は起こったのです。
得意先に入っていき、人が好きだった私はつい話し込んでしまい、30分ほど「所長を車で待たせたまま」お客さんと話をしていたのです。ここで気の利く人なら、車から出てきて切り上げるタイミングを測ってくれるものですが、その所長はそういう人物ではありませんでした。

お客さんとにこやかに話し合い、「初めての営業にしてはよく話せたなあ」と思い、車に戻ると、所長が鬼の形相で待ち構えていました。
 
「お前コラ、ちょっと車に乗れ」
 
突然の豹変ぶりに私はびっくりし、急いで車に乗りました。所長の言い分はこうでした。
 
「俺を待たせたまま、何分話し込んでんだ」
 
このセリフには驚きました。てっきり初営業でこれだけ話せることを褒められるものだとばかり思っていた私は、所長がまさか「放置されたことに対する怒り」があることなど知りもしませんでした。私がにこやかに戻ってきたので怒りが爆発していたのです。
 
 

■それ以降、会社でいじめの対象に

その事件があって以降、私はすっかり会社で塞ぎこむようになりました。係長が言っていた「持って3日」というのは、所長の性格だったのです。要するに入社前はにこやかに対応し、入社してきたら徹底的に圧迫してパワハラまがいのことを行うのがこの会社の実態だったのです。係長などは慣れっこになっていて、所長の言う言葉など耳を貸さないタイプでした。
 
そのうち、係長も私に対してきつく当たるようになりました。
まず名前で呼んでくれないのです。「おい」とか「お前」など、名前で呼ぶどころか、まるでモノ扱いされました。
きわめつけは得意先に行ったときの言葉がありました。お客さんから
 
「あんたのところ、すぐ新人入るね。社内イジメが横行してるんじゃないの?」
 
と言われたとき、係長が言った言葉は
 
「だって辞める奴が勝手に辞めるんだもん。俺のせいじゃないもん」
 
という言葉でした。これを聞いた瞬間、私はとても残念な気持ちになりました。この会社はコマを求めていただけで、性格とか人を育てようとか、そういった風土ではまったくなかったのです。
 
 

■味方は遠方の先輩だけだった

こんな辛い状況のなかでも、私には一人、味方がいました。遠方の営業所に勤務する先輩であり、こういった風潮を変えようと努力されていた方でした。しかしその先輩も所長から辛く当たられ、限界に達していました。あるとき、先輩は私に言いました。
 
「この会社がどういうところかわかったでしょ?辞めるなら早いほうが…」
 
と言われ、それまで私も悩みなどを先輩に相談してきましたが、いよいよ辞める決心がつき、それからすぐに私は会社を退職しました。所長や係長はそっけない態度であっさりと退職届を受理し、最後の挨拶もないまま、私はブラック企業のパワハラによって潰されました。
 
 

■図々しく、他人を思いやらない人が生き残った

これは現在の日本の縮図かもしれません。村社会のような小さい営業所であってもいがみ合いが起こり、下を徹底的に潰しにかかるという風潮はもう時代遅れのものであると、会社側が認識しなければならないことなのです。
後で知ったことですが、この会社は過去に何度もパワハラで人が辞めている会社であり、労働基準局から指摘と指導が幾度と無く入っていた会社でした。そのたびに実態を隠し、ハローワークで求人を募集し、新人がくるたびに潰していたのです。
 
このことがあってから、私は新しく勤務する会社は必ずネットで調査するようになりました。
過去に労働基準局からの調査は入っていないか、口コミはどうかなど、徹底的に調べ、人脈も駆使して評判を聞いたりするようにし、現在では普通の会社に勤務しております。
このような会社は、日本にまだまだ存在すると思うので、事前調査は個人レベルでも徹底的にやっておくべきなのだと痛感した出来事でした。

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